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読書家に成りたい。
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ピアニッシシモ。ピアニッシモよりさらに小さい音。

帯の言葉。
『いちばん弱い音が、いちばん強く心に響く』
まさにその通り。そしてこの題名は素晴らしい。

主人公松葉は隣人の弾くピアノの音色が大好きだった。
一人で寂しいときも、悲しいときも、どんなときにだって慰めてくれたピアノの音色。
松葉は、いつもピアニッシシモのような弱さで、でもしっかりと心に響く旋律に癒されていた。
しかし、隣人の引越しとともにそのピアノは誰かの元へ譲られていたのだった。

その新しい持ち主である家を松葉は訪ねる。
そこで出会う、紗英との友情を書いた物語が、ピアニッシシモ。

紗英は本当にピアノが上手く、そんな才能を持つ紗英に、松葉は惹かれていく。
紗英と一緒に居るだけで世界が変わって見える―。
しかし、紗英は少し変化を遂げる。
たまたま出会った、ムゲンという人物に紗英は恋をする。
ムゲンは運命の人だと信じ、家出をしてまでムゲンに会いに行く紗英。

紗英は、自分を束縛するものから逃れようとしているようだった。
ムゲンを心から愛しているのではなく、ただ逃れたい、そんな気持ちが働いているようだった。

松葉は松葉で、家に自分の話をまともに聞いてくれる人がいないという孤独感で壊れそうになっていた。
誰も私の話を聞いてくれない、という思いが松葉の心に闇を作っていっているようだった。

様々な複雑な出来事のもと、真の友情というものを手に入れることの出来た2人。
ソフトな文章で綺麗に物語がかかれている。細部の細部まで。
綺麗な書き口がもう絶妙な余韻を残すピアニッシシモ!すごくよかった。
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でりば!でりばりぃAge。
梨屋アリエ作品はこれを楽しみに取っておき、空色の地図を読んだ。
そしてでりばりぃAgeに入った。

これはちょっと…!!
14歳、現在の私に近い年齢である真名子。その真名子の心理状態に、凄く私は近いものを感じた。
テスト中に見えたシーツを自分を助けるための帆船と思うあたり。

そのシーツがあった家に居たローニンセイ(後に、真名子は大学生と知る)と出会うことから本当の話がはじまる。
思春期で複雑な感情を持つ真名子は、ローニンセイと触れ合うことで、その感情の正体を知り、それをどうにかしようと考える。
しかし、悩みは尽きないもので、友情、親子の間など様々な感情が真名子を渦巻く。
そこにローニンセイが触れることで少しずつではあるが、真名子は癒されていく。

やっぱり、アリエさんはすごい。
どうしてこんなにも真名子が私に似ているのか。もう驚いた。
思春期の複雑な感情を浮き彫りにするアリエさん。すごすぎる。

この本を弾みに、アリエさんワールドへ私は入っていくのであった!
梨屋アリエ作品の出会いはちょっと小話がある。

吹奏楽部の大会に出た日です。吹奏楽、なので自校の演奏が終わった後とか、審査とか、小編成の部、とかいろいろと暇な時間がある。
それを考えた友達が、本を持っていたんです。そう、それが、「でりばりぃAge」!
ええ、空色の地図ではないんです。
そして、その友達の本を(勝手に)少し、読んだところ、すっかり虜になってしまったのです。しかし、本はその友達が借りているので…!
図書館に行って別の本、そう「空色の地図」を借りた!

では、空色の地図について。

空色の地図。
思春期、友達との関係に悩んでいる初音の元に、昔の自分からの手紙が届いた!何故今更?そして思い当たるのは、一夏だけ一緒に過ごした、泣き虫美凪。そして、初音は美凪に会いたい、と思い連絡をする。そしてそれからが大変な物語!!

この本で気に入ったのは単刀直入に言うと、人物設定。
初音と美凪の昔の性格、そして現在の性格。
特に、美凪の昔と今のギャップが良かった。
それに、昔の自分が出した手紙という設定も良かった。

うーむ。話の後のほうは、ちょっと…だったかもしれない。
はじめのほうが良かったかな。
最後の締は良かったと思うけれど。でりばりぃAge読んで期待したけれど。これは、そんなじゃなかったかなあ。
でりばりぃAge読まないと!

やっぱり、人物設定に惚れる私でした。
図書館の神様ー。何でだろう、毎度のごとくだが瀬尾さんの本は直に読み終わる。
やはりそれだけおもしろい、というか集中力高く読めるということなのか。

主人公は清。清が高校生のとき、同じバレー部員の子が自殺してしまった。その原因は、清が厳しくした所為だと、周りから思われ、清の心に深く影を宿す。すっかりバレーボールをしなくなった清だが、大人になり、バレーが恋しくなる。結局、バレー部の顧問になるために講師になった。しかし、部員が1人しか居ない文芸部の顧問にあてられてしまった。名前は垣内君。

清は奥さんの居る浅見さんと付き合っている。その浅見さんとの関係も物語りに深くかかわっているのだが。

バレー部の顧問になれなかった清は当初、文芸部、そして国語教師をを“かったるい”という意識で思っていた。清は全く文学に興味もなかったからだ。
しかし、そんな清と文学少年の垣内君との会話。そして先生と生徒という立場の2人の会話。それがこの本の魅力。そしてもう1つ。この物語は確かに青春物語。そう、青春物語なのだけれどちょっと違う。正直飽きちゃうものなのだ。けれどこれは“先生”という視点で書かれている。それがとても新鮮! 青春物語特有の“飽き”というものがないのにもかかわらず、青春を書いている。とても綺麗だ。


また、主人公の性格がとても私は気に入った。「やるからにはしっかりやる」というモットーのようなものが清には染み付いていると思う。それがとても清清しい。
文芸部の存続についての会議で、ドロップアウトや間に合わせという言葉が飛び交い、それに対し清は怒り、「1日だって同じことをしてません。(中略)体育会系のクラブこそ存続を考えたらどうでしょう」というすごいことを言う。最初はやる気のなかった清も、やはり段々文芸部に愛着がわき、こんなことを言うようになった―。それがまたなんとも凄い。そして朝練をしよう!という清の考えもすごい。

余談だが私も文化部(吹奏楽部)で、部員数はかなり少ない部活動なので、こういう話は実感を持って迫ってきてしまう。ただ主張するが、人数が少なくても活発な活動を行っている!!
まあ、それは置いておこう・・・。

本当は清の弟や恋人の浅見さんも重要な物語ではあるが、やはり垣内君と清のシーンが私の中ではベストでした。
天国はまだ遠く。書店で見つけて初めて瀬尾さんの本を購入ー。

23歳の保険会社に勤務していた千鶴。しかし、仕事も人間関係もちっとも上手くいかず、自殺を試みようと、兎に角北へ、北へ、山奥へ…。と、本当に山奥まで来た千鶴。民宿で自殺を試みようと考え、その舞台に選ばれたのが民宿たむら。
しかし、自殺は失敗。さらに民宿たむらの田村さん(笑)やこその集落に触れ合うたびに死にたいという気持ちが薄れていった。そして千鶴は長いこと田村さんに御世話になることに…。

結局千鶴が居たのは1ヶ月にもならなかったんだけど。いやそれでも2週間くらい民宿に居るなんて。


取りあえず、読んでびっくり。驚き。
兎に角最初に幸福な食卓を読んだとき、瀬尾さんは少し暗めの物語を描く人なんだなあ…。なんて、思っていたし、温室デイズも少しその気があったのでこんな物語をかくんだなあ…と。
確かに、自殺。というテーマで始まり思い感じかと思ったのだけれど全然違った。
千鶴が、田村さんや集落の人々の温かさに癒されていく、という感じで。

最後のシーン、凄くお気に入り。
ここは私の居るべきところではない、と思ってちゃんと自分の生活に戻ろうと千鶴が決心をする場面。

「私が帰るのって、田村さん、悲しいですか?」と聞いたときの千鶴はなんとも素敵だった。確かに千鶴はもう少し、あそこに居たら、みんなに受け入れてもらえるようになったし、存在する意味もきっと分かっただろう。けれど、それではダメなのだという決心、そして最後に田村さんに気持ちを聞く気持ち。ああ新鮮だなあ。

文章がすっきりしていて読みやすいし良い感じだった。最近結構飾り気のある文章を多く読んでいた気がするので、このタイミングで読めてよかった。
最後、集落から出て行くときの切ない感じが素敵だった。
悩んでいるときにこれを読めばきっと救われるに違いない。
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